現代文化論 (配点:うろ覚え) - アシストジャパン

現代文化論 (配点:うろ覚え)

お世話になっております。アシスト・ジャパン株式会社 東京営業部です。

今回は地下アイドルが好きな社員と現場を一緒にする機会があり、その際に思い出したお話を書いてみます!

100人規模の小さなライブハウス。平日の昼間。笑顔を振りまく地下アイドル。ステージに向き合う、まばらな客は端の丸テーブルを囲みソフトクリームをなめる夫婦とまだ幼い子ども、私と私の母。そして、最前列で猫耳と尻尾を付けて、全力で踊るおっさん。正直、主役より目立っていた。10年以上前だが、今も鮮明に思い出せます。

当時は不思議でした。なぜ、あのおっさんは踊っているのか。いや、目の前で主役がパフォーマンスしていますけど?そんな気持ちでいっぱいになりました。

そんな疑問は意外なところで解消されました。大学の授業です。

現代文化論のとある回で教授はこんな話をしました。

「アイドルのコール文化は歌舞伎の”大向こう”から来ている文化と通じているからね」

“大向こう”とは、歌舞伎において観客が発する掛け声。「よっ、〇〇!」のアレです。

細かい説明を省くと、観客の掛け声が演者の決めに迫力を付けるために行います。要は、盛り上げに一役買っているのです。

「アイドルの、特に地下アイドルのコールがネタになるほど白熱するのは仕方のないことだよ。逆に言えば、ステージに立つ者たちだけじゃ観客のボルテージを上げきれないんだ。それを知っているのはもしかすると、アイドル以上にファンかもしれない」

「でも、それを貶める権利は僕らにはない。観客も盛り上げてくれるように披露するパフォーマンスもあれば、観客自らが作り上げている感覚を楽しんでいるのだから。お互い楽しむのが一番でしょ」と、話はラブライブ!のμ’sがライブで”Snow halation”を披露した際にファンたちがサイリウム(UO)を一斉に点灯する現象に移っていくのだが、そこで私は10年以上前の記憶に行き当たります。

あの猫耳おっさんの踊っていた理由は正しくこのことだったのではないだろうか。

観客もまばらなステージ。私含め、反応の薄い、観客たち。

板の上に立っていれば、足がすくむ光景が広がっていたかもしれません。

それでも、彼女たちが歌い、踊れるように。元気づける目的でおっさんは踊っていたのだとしたら。

それこそ、私に彼を貶す資格はありません。彼は、私たちに楽しんでもらうためにも踊っていてくれたのだから。

今、彼女たちや猫耳おっさんが何をしているか、私は知る由がありません。

もしかしたら引退しているかもしれません。猫耳おっさんもオタクをやめているかもしれない。

私が返せるモノは何もありません。

私ができるのはせめて、このブログに書き記し、存在の証明を遺すことのみです。

思い出の中、音楽が無音になったとしてもそんな体験をありがとう。

 

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